田舎者の都会暮らし - 道本食品

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田舎者の都会暮らし

         田舎者の都会暮らし

 私は先月から転勤となり、住み慣れた宮崎を離れ東京で一人暮らしを始めました。
一人暮らし自体は長かったのですが、これまで九州圏内、もっと言えば田舎の方から出たことはなく、都会暮らしは生まれて初めてのこと。
家は聞いていた通り、活気あふれる商店街の近くにあり、買い物も交通の便もとても良い所で、肝心の部屋はこじんまりとした小さなものですが、南向きで風のよく通る気持ちのいい所です。
「東京ではスイカが要る」ということで、大玉にするべきか、それは重いから小玉にしておくべきか悩む…なんていうことは無かったのですが、初めのうちはSUICAをもっていながら電車を乗り間違えたり、会社近くの駅で出口が見つからず出られなくなったり…。あの挙動不審な行動は、誰が見ても田舎者に見えたことでしょう…。
しかしそんな私も1か月も経つと、人ごみにうまく乗って自分の乗りたい電車まで迷わず到達して目的の場所まで行くことができるようになるのです。

人の「慣れ」や「順応」というのは必要なことなのですが、ふと自分がこのままこの土地に飲み込まれてしまうようような、寂しい気持ちを抱くことがあるのも事実。
ここには人が沢山居て、交差点で多くの人とすれ違うのに、誰とも言葉を交わさない。電車は満員で全員が密着しているのに、社内はシンとしている…。
なんとなく釈然としない空気を感じながらも、モノと情報が溢れるこの土地で周りの人たちと同じように生活しています。

それでも時々、宮崎本社に電話を掛けると、のんびりとした宮崎のイントネーションが聞けることに安堵感を覚えます。住み慣れた土地を離れて改めて、地元の良さが分かるというものなのかもしれません。

とはいえ、まだこちらでの生活は始まったばかり。
宮崎の人と風土の温かさを忘れず、こちらで沢山の人に出会って宮崎の、日向漬の良さを持ち前の明るさで伝えていきたいと思います。 (Y.F.著)

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