三代目と晩婚化
『売家と唐様で書く三代目』とは商売の難しさと言うよりは人間の弱さを象徴した格言のように感じます。これは商家(企業)についていわれることではありますし、実際企業を100年間維持継続することは至難の業です。この格言が作られた時代のスピードと現代のそれ比較すると、さしずめ昔の300年に相当するかもしれません。
又、この格言は現代の私たちの行動様式にも言えることで、戦後の混乱から高度成長期を支えた人たち(大正から昭和1ケタ生まれ)の孫たちが丁度今、就職や結婚適齢期になっていると予想されます。就職難の問題は別として、新入社員の退職率の高さや晩婚化の減少は丁度この三代目に当たっています。価値観の相違や個性の尊重は非常に大切なことではありますが、我慢とか忍耐という言葉が忌み嫌われる傾向にあり、楽に楽しくを求めすぎていることの裏返しが一般論としての若者の行動様式に表れているのではと思われます。
二代目までは背中を見て(いかにも日本的ですが)育ったが、三代目は不自由を特に感じることがなく成長した証なのかもしれません。
『今の若者は』と憂う前に、そうしてきた私を含めた二代目の責任が本当は重いのかもしれません。
(S.T記)