譲る勇気と受け入れる余裕
少し前にTVでも『江戸しぐさ』が話題になりました。傘かしげや肩引きなどが有名ですが、これは日本全国から集まった人々がお互いに気持ち良く暮らすための知恵、工夫だったようです。西欧では肩がぶつかれば『sorry』と言いますし、商品を買えば購入者が『thank you』と言う光景を見かけます。背景は異なるかもしれませんが、江戸しぐさに近いことが普通に行われています。日本では最近あまり見かけませんが・・・。
電車で年配者に席を譲る行為も多少の勇気が必要です。目の前に年配者が立った時に反射的に席を譲る人は問題ありませんが、譲る必要がある年齢か、二人いらした場合はどうするかなどと考えている間に間が悪くなり、譲るきっかけを逸してしまうことがあります。以前譲ったにもかかわらず、すぐに降りますからと丁重にお断りされたりすると、一度立った席に座り直すのも何とも気まずい思いです。
席を譲ることは多少の勇気が必要ですし(勿論、自然の行為と考える立派な方もいらっしゃいますが)、周りの目もあります。このように感じる方は結構いらっしゃるのではないでしょうか。
江戸しぐさは見知らぬ他人同士の友好関係の知恵かと思いますが、お互いに相手を思いやることがその背景にあります。私はまだ席を譲られる年齢ではありませんが近い将来席を譲られる機会がありましたら、譲られるほど年配ではないとは思っても、その行為・勇気は賞賛し、年配者として受け入れる余裕・度量を持ちたいと思います。
（S.T記）
